【連載】センセイ(うちの社長)を紹介します~Vol.6~

2020年4月1日に迎えたPIVOT設立20周年を記念して始めた、連載企画「センセイ(うちの社長)ってこんなひと」の今日はVol.6を発信します!


新型コロナウィルスの影響により、PIVOTでも完全在宅ワークが原則化され、早くも2か月近ほど経ちます。在宅ならではの課題もたくさんありますが、一昔前までは考えられなかったほどの、スムーズな在宅ワーク環境が実現できていることにも驚きですよね。


本当に日々進化し続けるテクノロジーやいろいろなツールあってこそ支えられていますが、その裏にはまだ「世の中にないものを作る」ために奮闘する人達がいてくれるから…なのかもしれません。


そう!そこで今回は、センセイことうちの社長・宮嵜が、PIVOTの社長になる以前、「パナソニックデジタルネットワークサーブ株式会社」での在職中に「まだ世の中にないもの」をつくるために奮闘していたころのお話です。


“パナソニック”の社員として、「まだ世の中にないもの」をつくる


「パナソニックデジタルネットワークサーブ株式会社(PDN)」へ転職した経緯は前回聞きましたが、PDNではどんな仕事をしていたんですか?


テレビのリモコンに「dボタン」があるでしょ?dボタンを押すと、通常の放送にいろんな情報を追加したり、クイズなどの双方向性のコンテンツなどが表示されたりする「データ放送」。​​​​​​​今では当たり前にみんな使っているけど、そのデータ放送のコンテンツをつくる仕事。​​​​​


当時は、総務省がつくった企画書や仕様書しかなくて、世の中にまだないサービスのコンテンツをつくっていました。


​​​​​​​HTMLに近い「BML(Broadcast Markup Language=放送用のXML応用言語)」を使って、パナソニックの研究所が開発を進めていたデータ放送対応のテレビのプロトタイプ使って開発していたんだ。



そうなんですね~、いろいろ大変なこともあったんじゃないですか?


そりゃいろいろあったけど面白かったよ。みんな仕事に対してまっすぐで。技術者の人が多かったし、『わからないことはまず自分で調べろ』というスタンスだったから、僕の性格にも合っていた。上司に恵まれたし。


当時のエピソードとか、聞かせてほしいです!


「大人の事情」を考えないと、良かれと思ってやったことで怒られることも


エピソードというか、ちょっと“やらかした”ことがあって…。


データ放送はサービス自体がこれからだし、テレビのメーカー各社もデータ放送対応の受信機を開発していた。僕らが開発しているコンテンツがちゃんとテレビに映るかを、各テレビメーカーが集まって検証することを定期的に行われていたんだ。


実際の本放送と同じように、電波にデータ放送を乗せてテレビで受信するためのシミュレーションができるNHKの放送センター。


データ放送の中にちょっとしたアニメーションのキャラクターが登場して、簡単な動きをするコンテンツをつくっていたんだけど、メーカーによってデータ放送の処理能力に差があったから、どのメーカーのテレビがどのくらいの能力なのか、わかっていないとアニメーションの動きとかも決められないでしょう。


だから僕は、テレビのデータ放送処理速度が目に見えるような確認用のベンチマークソフトをつくって持って行ったのよ。だって、テレビによって見え方に差が出たりすると問題になるじゃん。


​​​​​​​​​​それで、実際に各メーカーのテレビでそのソフトを試したんだけど、考えてみれば、全メーカーが揃った会議の場で、自社のテレビのデータ放送処理能力がつまびらかにされるワケだ。

パナソニックを含め十分な処理速度でスムーズな会社は問題なかったのだけど、あるメーカーが全然グラフが動かないくらい速度が遅くて…。​​​​​​​そのメーカーの担当者に「どういうつもりで、予告もなくこんなことをやるんだ!」と、えらい剣幕で怒られた。そのメーカーにしたら、“他社の目の前でメンツをつぶされた”ってことで激怒したんだろう…。

​​​​​​  

僕としては、実際のテレビの処理速度を確かめておかないと、今後のコンテンツづくりの方針に関わるからつくったまでなんだけど。​​​​​​​

いやぁ、せめて事前に伝えておけばよかったかもね。​​​​​​​​​​​​​​「大人の世界では、いろいろ考えないといけないこともあるんだな」と学んだなあ(笑)。


メーカーごとの性能を比べられちゃいますからね…
でも、その時のセンセイの怒られても飄々としている表情が目に浮かびます。


でも本当に、他のメーカーはすごく興味深く見てくれたんだよ。スムーズな処理速度だった某超大手企業なんて、「素晴らしいものをつくってくれた。そのソフトを持ち帰らせてくれ。開発に活用したい」とまで言ってきたんだから(笑)。

​​​​​​​

ライバル会社であるパナソニックに、そんなことが言えるなんて、“この会社はモノづくりにまっすぐな会社だな”と思った。

​​​​​​​

上司に「ライバル会社の担当者からこんなこと言われたんですが」と報告したら、「渡していいよ」だって。パナソニックもさすがだよね。



↑↑↑データ放送の例。日々、進化を続けていますね。


新聞社のニュースデータベースで、カーネルパニックが発生!冷や汗が…


PDNでは、他にどんな仕事をしたんですか?


PDNには6年くらい居て、初めの3年がデータ放送の仕事、後の3年はWebの仕事。Webの仕事はかなり大変だった。


​​​​​​​毎日新聞のニュースサイトの記事生成システムをつくっていたんだ。​​​​​​​


昔は、Internet Explorer(日本語版)を開くとデフォルトで『MSN毎日インタラクティブ』という毎日新聞がニュースを提供するページが表示されていたんだけれど、その表示が出る仕組みをつくっていた。

↑↑↑何千万人もの日本人が見たであろう、2004年当時のMSN画面例。


新聞の記事って、朝刊に間に合わせるために深夜1時くらいが入稿のリミットで、それまでに書かれた記事がデータベースに蓄積されていく。


だから、夜中の1時から明け方6時くらいまでにソフトのアップデートとか不具合の解消とかしなきゃいけない。​​​​​​トラブルが起きると夜中に呼び出されて、1日のうち2-3時間しか家に居ないようなことも多くて、この頃は生活のリズムが無茶苦茶だったなぁ。


定期的にアップデートが必要なソフトはちょっと特殊なもので、Linuxのコマンドでアップデートしていたんだけど、ある時『カーネルパニック』が起きた。OSが起動しないの。画面には謎のエラーメッセージが出てきて、「うわっデータ消しちゃった!?」と本当にパニック。

​​​​​​​

実際の原因は、消しちゃいけないコマンドの1行を消したことだったんだけど、その時は画面の前で氷ついたね。「これ、復旧するのに何日かかるんだろう」と。


でも、まずは冷静になって、今までの知識を総動員してどうすればいいかを考えた。普段、自分がアップデートする際にどういう行為をしているか。

​​​

アップデートなんて、マニュアルを読んでその通りにすればできちゃうけど、僕は一つひとつの手順にどんな意味があるのかを理解して、アップデート作業をするようにしている。​​​​​​つまり、その時も自分がカーネルの構造をいじっているという自覚を持って作業していた。​​​​​​


それが良かったのだけど、ネットで調べたら、コマンドを確認してカーネルの再構築をすればいいということがわかって、そのコマンドが通ってOSが起動したときの安堵感たるや…。


いやー冷や汗もんだった。


この失敗で学んだのは、自分がやっている作業手順や内容の意味をちゃんと理解していないと、こういうトラブルに対応できないということ。ただ言われたことをやるだけ、書いてあることをやるだけではダメだなと、つくづく感じたね。


他にも失敗とかやらかしたことはいくつかあるけど、一度くらいはこういう失敗を経験していると、並大抵のことでは動揺しなくなる(笑)。いや、でも実際、そうだと思うよ。​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​


それと、今まで自分が経験してきたことや知識として身につけていることが、いつか役に立つことがあるかもしれない。​​ジョブズの言葉じゃないけど、「点が線になる」時が来るかもしれない。


だから、自分がやっていることの意味を理解することもそうだけど、興味を持ったものからどんどん枝葉を広げて知識を増やしていくことも大切だと思うよ。どこで何が役に立つかわからないから。


センセイが失敗したり、怒られたりしているイメージがないので、意外でした。失敗からきちんと学びを得る、という事が大切ですね!

PIVOTブログ

PIVOTはWebやアプリを中心にしたデジタルツールの企画~構築・運営、システム開発まで、UI中心設計でユーザーの最高体験を追求しているデザイン&システム開発会社です。 「(PIVOTなりの)課題解決」に軸を置き、ブログを書いています。

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